動物行動学者の好奇心にあふれたエッセイ集。
身のまわりの植物や昆虫に対する、著者の眼差しのあたたかさと鋭さを両方とも感じることができます。
特に印象的だったのは「自然との共生」についての文章です。(「幻想の標語」「人里とエコトーン」)
そもそも自然とは果てしない競争と闘いの場である。
人間は住みやすい環境を守るために雑草や虫を追い払うけれど、植物や虫は子孫を残すため追い払われてもまた巻き返してくる。
そのように、人間のロジックと自然のロジックがせめぎ合うところが人里であり、その状態こそ「自然との共生」なのではないか、と著者は述べています。
そう考えると、里山の景色がなんだか違ったように見えてくるから不思議です。
また、表題作にもなっている「春の数えかた」もおもしろかったです。
生物はどのようにして春が来たことを知るのだろう?
たった5ページのエッセイとは思えない、わくわく感を味わうことができました。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
アニマル・ワンダー。
- 感想投稿日 : 2015年8月19日
- 読了日 : 2015年8月11日
- 本棚登録日 : 2015年8月19日
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コメント 2件
nejidonさんのコメント
2015/09/04
すずめさんのコメント
2015/09/04