梨木香歩さんが西日本新聞に連載されていたエッセイをまとめた1冊。
日本の地名にまつわる見開き1ページに収まる短い文章が、全部で49篇収められています。
梨木さんのその土地に息づくもの・宿るものを大切にしていることが感じられる文章にじんわりと温められました。
地名には、その土地の上に流れた歴史や厚みが降り積もっているのだということがひしひしと伝わってきます。
一方、行政的な視点に立つと、地名は単なる記号としか見られなくなってしまうのかもしれません。
市町村合併にともない新しくつけられた都市名の中には、地元で暮らす人にとって、なかなか馴染みのないものになってしまったものもあるようです。
1つ1つのエッセイもすてきなのですが、章題がまた美しいのです。
鶴見や富士見、魚見など、「見」という漢字が入った土地を取り上げた章の名前が「まなざしからついた地名」。
思わずほぅっとため息がこぼれました。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
エッセイ。
- 感想投稿日 : 2013年8月4日
- 読了日 : 2013年7月28日
- 本棚登録日 : 2013年8月4日
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