袋小路の男

著者 :
  • 講談社 (2004年10月28日発売)
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??袋小路の男、小田桐孝の言い分:袋小路の家に住む男との袋小路の関係。ハンサムな小田桐に激しく惹かれた日向子だが、話したりデートはしてもらえるものの、一貫して彼女にはしてもらえず。ストレートに迫っても日向子にはわからない理屈ではぐらかされてしまう。他の男に走れば察して頻繁に連絡してくるが、戻ってくるとまた素っ気なくされる。けれどもお互いの考えてることはだんだんとわかってくる。そして、もう一編で、小田桐側の言い分、日向子からすれば勝手な言い分が語られる。最後の背中を向けたところに、長い付き合いから喜んでることを感じ取るシーンがいいな、と思う。最後まで詰まらなそうだけど、ちょっとずつちょっとずつ距離を縮めて行く感覚。以下備忘録。あなたが持っている最後の担保はカッコよさなのに、そんなのはひどい、裏切りだ/もっとも豊かな愛は時の仲裁に服するものである/おまえと縁を切るつもりはないけれど、俺は本当にいろんなことを諦めているんだ。これで答えになるのかな/けど追い詰めたりしない。しずかな気持/??アーリオオーリオ:清掃工場に勤める、理系のこと、特に星座が好きな主人公が、中学生の姪をプラネタリウムに連れていき、そこから文通がはじまり。人との関わりが苦手な三十代といろんなことに疑問を持ちストレートにぶつけてくる十代のやりとり。しつらえはほぼ違うのに、理系の父と娘のやりとり、池澤夏樹「ヤー・チャイカ」似た、涼やかな読後感。「人間は何もかも説明しようとするが、宇宙空間に言葉や数式は転がっていない。」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 2018年7月27日
読了日 : 2018年7月28日
本棚登録日 : 2018年7月27日

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