タイトルに沿って、順を追って考察が繰り広げられるというよりは、いくつかのケースを紹介していって、タイトルの結論にもっていこうという趣き。細胞の活動、実はふたつにわけられていたヴィットーレ・カルパッチョの絵画、視線とは何か、マップヘイターとマップラバーの行動原理。境界を両サイドから写した写真家渡辺剛の写真集。そして12章中半分近い5章を割いた、癌細胞の解明でノーベル賞に近づいたと思ったラッカーとマーク・スペクターの栄光と挫折。◆全体は部分の総和以上の何ものかである。◆世界は分けないことにはわからない。しかし分けてもわほんとうにわかったことにはならない◆世界に部分はない。◆本当の意味の因果関係もない。◆「治すすべのない病」が絵画の話から"神の手"を使ってしまった研究者までつながるところがまた興味深かった。
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- 感想投稿日 : 2023年8月9日
- 読了日 : 2023年8月9日
- 本棚登録日 : 2023年7月23日
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