マンガ世界の文学 (1)赤と黒

  • 世界文化社 (1995年11月1日発売)
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感想 : 13

グッドウィン「イスタンブールの毒蛇」で女后(ヴァリデ)がヤシムに、最後に、うちに帰ったら、スタンダールの「赤と黒」を読んで欲しいの、と言ってたことから興味を持ち、まず原作に当たるも冗長で投げ出し、漫画版にたどり着く。名もなき家の貧しい育ちのジュリアン・ソレルが、ひとかどの人物になり権力を握りたいという野心をドライブし、満たされなかった愛されるということも踏み台にして、のし上がろうとするが、姦計に落ち、罪に落とされ、逃れる道もあったのに、これが自分の道と23歳で生涯を終えるストーリー。ヴァリデが言いたかったのは、野心に振り回されて最後には命を落としたルフェーヴルを、ソレルに重ね合わせたかったのだろうか。もっとも、ソレルが垣間見せたある種の高潔さはルフェーヴルには見当たらなかったが。以下備忘録的に/俺には知性と意欲とこの美貌だけだ。/軍服の「赤」でのし上がれないなら僧侶の「黒」でのし上がってやる/おれの野心はおれの信念だ。/人生においての成功を願ってきたおれの努力は神の名のもとでは単純でいやしい野心にすぎない/退屈の空しさを知っているのが貴族の条件だ 彼みたいな勉強の虫は一生退屈しないのだろう/このおれが赤でも黒でもなく青い服を着て貴族のように振る舞うとは/

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 2018年9月15日
読了日 : 2018年9月14日
本棚登録日 : 2018年9月15日

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