サーディク・リファト、ミドハト・パシャ、シヤースィ、ナームク・ケマル、アフメド・フェリト、ズィヤー・ギョカルプら政治家や活動家の思想や群像劇が描かれたところがよかった。そうした人々の思想や活動があり、行きつ戻りつしつつも、改革は進んでいったものの、ついには、あとがきにあるように"オスマンは間違いなく「ヨーロッパ」の欠くべからざる一員であったが、まさにその「ヨーロッパ」のシステムの中にいたがゆえに崩壊を余儀なくされたのである。"ということに。その歴史的、地理的要因から、ヨーロッパと関わらざるを得ず、「東方問題」の客体として、西欧を外交的に操縦できた場面もあったが、ヨーロッパの方針が勢力均衡からオスマン領土の簒奪へ向かった時、なすすべがなかった。様々な改革も、後付けで振り返ると、状況に応じて、二転三転しつつも、ヨーロッパにならったり、イスラム側の改革を行っても、結果としては一手、二手、遅れていた感があった、ということか。/1924年共和制最初の憲法の88条「トルコの住民は、宗教、民族のいかんを問わず、同胞という観点からトルコ人と呼ばれる」という節の含意の深さ。
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- 感想投稿日 : 2019年1月9日
- 読了日 : 2019年1月7日
- 本棚登録日 : 2019年1月4日
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