蜜の味: ミレニアム・ミューズ

著者 :
  • 幻冬舎 (1999年12月1日発売)
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本棚登録 : 67
感想 : 18

斎藤美奈子「趣味は読書」に、"叶恭子「蜜の味」は本にしておくのはもったいない、五幕もののオペラに"とあったのに興味をひかれて手に取る。この頃は美香さんじゃない妹の話も随所に出てきたり、美香さんの話は、異母兄弟として名乗りを受けた、とさらっと書くだけだったんだ、と。巻末に、事実に基づいたノンフィクションだが、フィクションにしたところもある、とあって、なんだか信じるか信じないかはあなた次第みたいな気持ちに。半生記ということで、裕福だが複雑な過程で育ち(遠足の目的地にリンカーン・コンチネンタルで横付けして三段お重のお弁当!)、高校生の時は会うたびに一千万くれる彼氏とつきあい、それを元手に年商十億の会社を経営し、政界のフィクサーの仲介で(さらにその仲介に不動産王D.T.て…あの人しか思い浮かばん)、資産800億のアメリカ屈指の石油王の夫人候補に指名され、結局は断念、最後はいいよってきた資産家が他殺されたことで容疑者となり、疑いが晴れたところまで。まさに波乱万丈。帯には努力すれば手に入るサクセスストーリーとあったが、どの方向に努力すればこうなるのか途方に暮れる。ただ、自分以外の人に対して何かを期待せず、自分をとことん楽しむ「自分フェチ」の自覚があり、何ものにもしばられず生きていきたい、というのは伝わってきた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年9月30日
読了日 : 2023年9月30日
本棚登録日 : 2023年5月29日

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