北の大地において、人は自然を「およばぬ」ものとして畏怖してきた。
普段は穏やかに美しく見える風景も、時に荒々しく豹変する。
人の努力も願いも自然には及ばない。
人はただ全てを受け入れるしか術はないのだ。
明治から平成にかけて、一族の6代に渡る物語。
北海道を舞台にした人と馬との関わりが生き生きと綴られる。
容赦のない厳しい自然、それは荒々しく気高い。
「動物は自らを殺さない。生きることに執着する」
過酷な運命を受け止める潔さ、包容力と、死ぬまで懸命に生き抜く力強さを感じずにいられない。
ラストの、人と馬との世代を越えた対面にとても感動した。
著者の、北海道に生まれ育ち「羊飼い」に従事しているという経歴が文章に説得力を持たせている気がする。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
河﨑秋子
- 感想投稿日 : 2018年12月15日
- 読了日 : 2018年12月15日
- 本棚登録日 : 2018年12月14日
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