狐笛のかなた (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2006年11月28日発売)
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この世には〈あわい〉と呼ばれる場所がある。
人が住む〈この世〉と神々が住む〈彼の世〉の境目の、霊力のある獣たちが暮らす深い森だ。

〈聞き耳〉の才を持つ小夜と呪者の使い魔にされた霊狐・野火。
両者が隣国の領土争いに巻き込まれる純和風ファンタジー。
上橋先生の今までに読んだ物語は異国風のものばかり。
勿論それはそれで良いのだけれど、今回のような民俗学的な物語は理解しやすいしストレートに胸に刺さる。
日本古来から続く野山等の元風景を舞台に、読み手の郷愁を誘う物語で親しみやすく、とてもわくわくして面白かった。
今後は純和風ファンタジーももっと書いてほしい。
令和の初読みがこの作品で良かった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 上橋菜穂子
感想投稿日 : 2019年5月3日
読了日 : 2019年5月3日
本棚登録日 : 2019年5月1日

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