狐笛のかなた (新潮文庫)

  • 4010人登録
  • 4.10評価
    • (721)
    • (613)
    • (448)
    • (35)
    • (4)
  • 541レビュー
著者 : 上橋菜穂子
  • 新潮社 (2006年11月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101302713

狐笛のかなた (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 呪者に呪力を授けられた霊狐・野火。

    人の心の声を聞く能力を持つ
    12歳の少女・小夜。

    屋敷に閉じ込められている少年、小春丸。


    やがて敵対する国同士の
    領土争いに巻き込まれていく
    小夜たち。


    古き良き日本の風景や
    和の心を感じさせる
    冒険ファンタジー。



    いやはや
    上橋さんの作品は初めてだったけど
    美しい日本語で綴られた
    哀と死の物語に、
    寝る間を惜しんで読みふけるほど
    かなり引き込まれました。


    なんと言っても
    自分を助けてくれた小夜に
    密かに恋焦がれる
    特別な力を持った狐、野火の心情が
    なんとも切ないのですよ…(>_<)
    (小夜と野火の仲をサポートし後押しする鈴姉さんのキャラがまたカッコいいのです)


    そして次第に心惹かれていく
    一人と一匹。

    倒さねばならない敵同士。


    生まれたところも生きる場所も違う
    小夜と野火の恋情は
    まるであの
    「ロミオとジュリエット」を彷彿とさせて
    哀しくも美しい。


    命の儚さとその価値を知り
    少女は戦うことを誓い、

    狐は少女の喜ぶ顔を見るためだけに
    自らの主に反旗を翻していく…


    もともとこの小説は
    児童書として書かれたそうだけど、
    子供の頃にこの作品を読めた人が
    ホンマ羨ましいって思う。

    けれど児童書は
    決して子供たちだけのものではないんです。


    絵本や児童書を大人が読んで
    心が救われたり、

    現状を打破する
    ヒントを貰ったりって
    実は結構あるし。


    簡潔にまとめられた文章だからこそ
    受け取る側の心のあり方によって
    違う感想になるし、
    想像力をかきたてられる
    児童書という存在。

    子供に響く話は
    実は大人にも確実に響くんですよね。



    果たして小夜の思いは届くのか?


    「何かを得る者は
    何かを失わなければならない」という
    人生の真理を教えてくれる
    切なく胸を打つラストは
    少しほろ苦いけど、
    自分は断然支持します。

  • ぬおおおおおお!すごい良かった…!
    相変わらずご飯がうまそうなんですけど。風俗描写が細かくて、本当に、どうやったらこんな話が書けるのだろう?と途方に暮れています。
    闇ノ戸を閉じるシーンがとても美しくて、いいなあ。
    野火と小夜の心のふれあいがいとしくていとしくてならない。そして玉緒が大好きです。
    野火も小夜もまっすぐで感情移入しまくりました。
    小春丸が呪いを自分で増幅させているところは胸が痛かったです。
    異種族同士のふれあいが大好きな私には最高に大好きなお話となりました。息もつかさず読みました。ラストシーン、素晴らしいです。

    レビューを読んで。私はこれ以上ないハッピーエンドだと思ってしまったのですが、切ないエンドだとおっしゃる感想になるほどなぁ…と思いました。他の人の感想って面白すぎる。

  • 『獣の奏者』を読んだ時、この人の中で死はバッドエンドを意味しないのだな、と感じた。

    本作も、終わり方は決して晴れやかなものではなく、どちらかというと断たれてゆく哀しさに満ちている。
    でも、それはバッドエンドではない。

    特別な能力を持つが故に孤独である小夜とエリンの立ち位置は非常に似ている。
    二人とも、自らを犠牲にしても遂げたい何かがあり、一途に純粋にそれを貫く。
    そうして、その何かには、必ず生き物との情•絆が濃く存在している。

    この純粋さに、私はたまらなく惹かれてしまうんだなあ……。

    小夜と野火の想いの強さには誰も勝てない。
    野火が人間と狐を行き来する、曖昧さの描写がすごく良かった。
    使役する者とされる者の危うさもしかり。

    だから二人が良しとする結末であれば、もうそれでオールオッケー!なのである(笑)

  • 再読。大好きな本です。

    <聞き耳>の力を持つ少女と、主に使い魔として縛られる霊狐。
    何度読んでも小夜の優しさ、野火の強さに胸を打たれます。

    児童文学とはいえ、こんなにもドキドキする恋愛は珍しいのでは?(笑)

    子狐の頃、自分を守ってくれた少女をずっと見守ってきた野火。
    いつも、ピンチの時に現れる少年の正体が分かった時に、
    自然にそれを受け入れる小夜の大らかさにも、じんわりきます。

    切なく、温かく、ラストは思わず涙腺が緩みます。
    「終章 若桜野を」が大好きです。

  • 友達に絶対好きだよ!と言われて読んだ1冊。小夜のぶれない信念や強さ。野火の小夜を思う優しい気持ち。涙なくして読めません。読後はほっこり、満たされた気持ちになります。大好き!

  • うーん、爽やかというか素敵なお話だった。優しい気持ちになれる本。日本昔ばなしみたいな、和物ファンタジー。
    上橋菜穂子さん初読みです。とにかく綺麗の一言。流れるようにさらさらと情景,言葉が目に入ってきます。読み始めてすぐに物語に入り込めました。この導入でサラッと入り込めるのは何なんでしょうね?逆に入り込めない本って何がちがうんだろう?

    野火の純粋さ、ひたむきさには本当に心打たれた。同じく周りの動きに翻弄されながらも自分を見つめ行動する小夜の戸惑いと優しさと野火への思い。後半、「野火と小夜」の章からは、何度も涙ぐみ涙ぐみ。
    前半は良くできた童話だ、子供に良いよね、と思いながら読んだけど、いやもう最後にはドップリ満喫。でも、やっぱり子供時代に読むのが良い気がするなあ、これは。ひたすら素直に相手のことを思う、そのことを感じられる本だと思う。

    読みやすさのせいか、ちょっと物足りなさを感じたのも事実。まあ、これもケガレタ大人の心持ちのせいか・・・。
    敢えて愚かな選択をしてしまう、、鈴の諭すような話がまた染みる。

    ちょうど「秒速5センチメートル」を読み終えた後。若桜野の桜にそれぞれの想いというか、ホッとした幸せを感じる。ほんと日本人って桜に想いがこもるね。
    最後は野火、小夜、小春丸の三人で胡桃餅を仲良く食べるシーンが見たかったかなあ・・・

    良い本が読めたなー、と素直に感謝。

    終章のページがすごい少ないのにビックリ。え?え?え?と読み直してしまった。

  • 初めての上橋菜穂子サン。
    入門として狐笛のかなたを薦めてる人が多かったので、最初は絶対に本作からと決めてました。
    結果、大正解!

    上橋サンの和風ファンタジーに惹き込まれ、野火の思いがせつなくて、胸が何度も苦しくなったけど、とても読みやすくイッキ読みでした。
    もっと悲しいラストを想像してたけど、このラストで良かった!
    これから獣の奏者を読もうと思います。

  • 本を読まない人をかわいそうだなと思うのは、文字を追い、ページをめくっていって、最高の物語の中に入り込めた時におこる、全身が総毛立つような感動を味わえないから。

    総毛立つとか鳥肌って本来は恐怖とか嫌悪感による現象にしか使わないみたいですが、本当に視界の端で前髪がちょっと持ち上がるんです。感動して。

    そうなってしまう本はそんなに多くはないんですが、上橋菜穂子さんの作品は打率が高い。

    「獣の奏者」は私の中では鳥肌本の殿堂入りですが、この「弧笛のかなた」も、時を経ても枯れない本になっています。

    ブクログでは見つけられなかったですが、理論社から出ている方の表紙が大好き。

    児童文学という括りになっていますが、風景描写の美しさ、共感を通り越して我が事のように胸を締め付けられる心情表現、大人も存分に楽しめます。

    子どもに薦めるうえで、「獣の奏者」はあの分厚さから、自分の読書力にある程度自信を持っている子どもじゃないと、開いて物語の中にダイブするまでがなかなか難しいですが、「弧笛のかなた」なら壁が低くて、上橋さんの世界を堪能できるかと思います。

    私は理論社版を読んだので知らなかったのですが、他の方が、巻末の解説で、小野不由美さん、荻原規子さんがファンタジー作家の代表として挙げられていると書いてくださってて、すごく頷けました。
    「十二国記シリーズ」「勾玉シリーズ」そして「獣の奏者」が、子どもにお薦めした結果、見事にハマりこんでもらえる鉄板作品なんですよね。

  • 日本のファンタジー。
    小夜は人の心が聞こえる力を持つ。ある夕暮れ、犬に追われる小狐を助けたが、その狐はこの世と神の世の「あわい」に棲む霊狐。二つの国の諍いに巻き込まれ、人の心から生み出された怨みの連鎖によって、傷ついていく人々の心。閉ざされていく世界——若狭野。
    幼い小夜や野火の相手を思う行いが、澱んだ空気を払うかのように弱々しいけれど清々しくて、魅力的である。
    読後感が切なくて、そして優しい気持ちになれる。

  • 上橋さんはなんてすごいんだろう、とつくづく思った1冊。

    たった1冊でまとめられた物語なのに、それぞれのキャラクターに思い入れてしまう。特に子供の時のエピソードは、すごく短いのにそれぞれの優しさや思いが伝わってくる。その後の展開に「小春丸が助かりますように」「野火と小夜が幸せになりますように」と祈るような気持ちになるのも、このエピソードが生きているからだと思った。

    ラストがまた秀逸。
    こんがらがった恨みの連鎖を断ち切った春望の決断は素晴らしかった。

    上橋さんはシビアな話を書くし、野火は最後死んでしまうかなと思っていたので、ラストシーンがより美しく素晴らしく感じた。

全541件中 1 - 10件を表示

上橋菜穂子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

狐笛のかなた (新潮文庫)に関連する談話室の質問

狐笛のかなた (新潮文庫)に関連するまとめ

狐笛のかなた (新潮文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

狐笛のかなた (新潮文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

狐笛のかなた (新潮文庫)を本棚に「積読」で登録しているひと

狐笛のかなた (新潮文庫)の作品紹介

小夜は12歳。人の心が聞こえる"聞き耳"の力を亡き母から受け継いだ。ある日の夕暮れ、犬に追われる子狐を助けたが、狐はこの世と神の世の"あわい"に棲む霊狐・野火だった。隣り合う二つの国の争いに巻き込まれ、呪いを避けて森陰屋敷に閉じ込められている少年・小春丸をめぐり、小夜と野火の、孤独でけなげな愛が燃え上がる…愛のために身を捨てたとき、もう恐ろしいものは何もない。野間児童文芸賞受賞作。

狐笛のかなた (新潮文庫)のKindle版

狐笛のかなた (新潮文庫)の単行本

ツイートする