狐笛のかなた (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 676
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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101302713

感想・レビュー・書評

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  • 私が、上橋菜穂子という作家の本の世界に心の底から惚れた理由になる1冊

    この本よりも清く、淡く美しく強く涙のでる話を
    私は知らない。
    淡すぎる純愛と思いに言葉にならないくらい感動しました

    野火と小夜の最後を是非読んでほしいです




  • 無国籍ファンタジーが苦手でなかなか上橋菜穂子の作品に手が出なかったが、これならと手に取った。
    風景や登場人物が目に浮かぶよう。
    野火の想いの切なさに、やるせない気持ちを抱きつつもラストは清々しくあたたかい。

  • 呪いと生と死の物語。

    上橋菜穂子さんの作品は,厳しい。生きるとはどういうことかを突きつけてくる。現実じゃなくてファンタジーだからこそ感じられる,選択の厳しさ。私は何を大切にしたいのか。

    小夜は人の心が聞こえる力を持っている。幼い頃出会ったけがをした狐,屋敷に閉じ込められている男の子。亡き母の秘密。隣り合う国の争いに,自分の母や一族,力が関係していると知った小夜はどうするのか。小夜に助けられた霊狐・野火は主を裏切るのか。解放された小春丸は。誰もが自分の信じるものに頼り,どうにか結末を目指そうとする。エゴは醜いものだけれども,否定するのは難しくて。

    もっと壮大な長編にすることもできたのではないかと思った。終わったときにあっけなく感じた。ハッピーエンドではあるけれども,本当にこれで終わりなのか。しかし,実際もそういうものなのだろう。壮大で満足感のあるエンドマークなんて,現実には早々出てこない。現実を語るファンタジー。

  • 狐の野火と不思議な力を持った小夜の物語。

    獣の奏者と底通しているような、力を持ったものがその力ゆえに悩み、運命に立ち向かう物語なのかな? と思いながら読んでいました。

    ただ、この物語を読み終えて、純粋な澄んだ想いを持った子らが、大人のしがらみの中で必死に生きようとする話なんじゃないかって感じました。

    社会人になったばかりの私は、もう、なるようになってしまえとあきらめてしまいたい自分をもう一度奮い立たせたくなりました。

    純粋な想いが、人を動かす様、信じることで物事が良い方向に動いていく様は、心が洗われる思いがしました。

  • どちらかというと「生き物」というのは
    「死」に近いところで生きていて、
    この危ういところで生きているからこそ
    ああ、「生きてる」んだな…って
    思わずにはいられなくて。
    生きることと死ぬことと
    全部同じところに在るのだよね、と。
    思い出させてくれるような、
    お話でした。

    小さな世界だけれど、
    そこで生きる者にとっては
    大きな世界で。

    最初から最後まで、
    なんだか消えてしまいそうなふたりを
    追いかけて

    なんともいえない
    この、
    優しさなのか悲しさなのかわからない
    気持ちが、入り混じって、
    でも、とてもあたたかな気持ちにもなって…。
    大好きです。

    (サイトでの感想です。)
    https://kotkotri.tumblr.com/post/160118778677/

  • わたしの長編作品の入り口。
    小学二年生の夏にこの本を読んだことによって本の虫と化する運命になった

  • 上橋菜穂子作品は「守り人シリーズ」や「獣の奏者シリーズ」を読んだことがあったけれど、シリーズではないこの本が私の中では一番心に響いた。日本が舞台であることもしっくり来た理由かもしれない。海の向こうからやってきた一族の大朗が言う「この地に生きる魂とふれあう力」を持った物語というところか。長く日本を離れていても、私の根もまた日本にあったのだと思ったりした。

  • オススメする本ベスト3に入る。世界観が綺麗な和風ファンタジー。描写も綺麗だし登場人物の心も綺麗。

  • 最初のころから上橋ワールドはそのまんまなんだなぁと感じる。
    生と死や、動物と人間は互いに近しい存在であるということ。
    領分を越えて無理をすれば、反動があり何かを失うということ。
    そういった、人間の根本をひたすら見つめて作り上げられる物語世界は、優しさも厳しさも同じくらい抱えている。
    大人社会の流れに巻き込まれ、様々な選択を強いられながら自分をつかみ取っていく小夜の姿もいいけれど、何者にもなりきれず苦悩する野火のほうが読んでいて思い入れてしまった。常識を外れて主に背こうとしているのに、信じてもらえない・・・それでも心に決めたことを成し遂げようとする野火。それができるのは、信じてくれる小夜がいたからこそ。
    お互い一目惚れみたいな感じで生まれた絆だけど、想いを決めたら一直線というのも、少年少女らしくて、悪くない。

  • 上橋菜穂子ワールドに入りたくて、図書館にあったこの本を借りてみた。

    上橋さんの物語は風景がホント、目の前に広がる、映像化されたらきっとコレ既に頭の中で見た!って思わせる。
    風景だけじゃなくて、匂い、風、空気の冷たさなんかも体感できてしまいそう。

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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