乳と卵

著者 :
  • 文藝春秋 (2008年2月22日発売)
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感想 : 741
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母娘と母の妹の、女3人の生々しい会話(というより、自分勝手な語り?)にドキドキした。
「初潮を迎える(←迎えるって勝手にきただけやろ…には笑った)」前の難しいお年頃の緑子。
人前で喋ることができずペン書きで自分の言葉を伝える緑子と、そんな緑子に対し喋りまくりの母・巻子。
母はどうでもいいことばかり喋るくせに、大事なことはちっとも伝えていない。
そんな母にヤキモキしながら緑子もまた、自分の気持ちを母に伝えられないのだった。

体が勝手に成長していくことを不安がり子供のままで居続けたいと願う緑子に対し、豊胸手術で体を変えたい母。
何とも対称的で不器用な母娘が、ラスト、台所で卵を叩き付けぐしゃぐしゃになりながら胸の内を明かすシーンには泣けた。

「緑子、ほんまのことって、ほんまのことってね、みんなほんまのことってあると思うでしょ、絶対にものごとには、ほんまのことがあるのやって、みんなそう思うでしょ、でも緑子な、ほんまのことなんてな、ないこともあるねんで」
濃くて短い夏の3日間。
緑子よ、大人になってもどうかこの3日間のことは決して忘れないでいて。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 川上未映子
感想投稿日 : 2019年9月16日
読了日 : 2019年9月16日
本棚登録日 : 2019年9月16日

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