男性の悲哀を淡々と静かに描く短編集。
身近な女性を様々な理由で失った男性たち。
失った理由や過去の幸せだった日々に思いを巡らせ、悔やんで感情を押し殺す。終わることのない迷路をただぐるぐるとあてどなくさ迷う。
側にいると気付かなかったことも、失って初めて気付く。この後の祭り感が男たちの情けなさを一層煽る。
この悲壮感たっぷりの男たちを、映画『ドライブ・マイ・カー』主演の西島秀俊さんを見立てて読むと、熟成された男の色気を感じてしまうから不思議。
「男と女が関わり合うというのは、なんていうか、もっと全体的な問題なんだ。もっと曖昧で、もっと身勝手で、もっと切ないことだ」
こんな情けない男の世迷い言も、西島秀俊さんが言えば好意的に受け止められる。
誰を役に当てるかで印象も違うもの。ちょっと贔屓目に見てしまった。
映画『ドライブ・マイ・カー』の原作として読了。
この他『シェエラザード』『木野』も原作として加わったらしい。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
村上春樹
- 感想投稿日 : 2022年4月29日
- 読了日 : 2022年4月29日
- 本棚登録日 : 2022年4月24日
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