考えの整頓

著者 :
  • 暮しの手帖社 (2011年11月1日発売)
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本棚登録 : 2231
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『ピタゴラスイッチ』でお馴染みの佐藤雅彦さんが、日常で不可解に思っていることについて「文章を書く」ことで自分の考えを整頓されたもの27編。
雑誌『暮しの手帖』で2007年1月から2011年5月まで連載されたもの。

佐藤さんの頭の中は実に論理的。文章もスッキリしていて分かりやすいし、物事の見方もちょっとユニーク。
あとがき『歩きながら考える』とあるように、不可解な事に対して、止まることなく常に周りをぐるぐる歩きながら理解していって自分なりの理論を生み出していく感じが面白かった。
「面白い」とは本当のことが分かって目の前が開けて明るくなるという語源を持つ、という。
『ピタゴラスイッチ』の中で生まれる面白い発想の数々も、こうやって形付けられているのだいうことが分かった。だから子供から大人まで幅広く楽しめるのだろう。

●私も仕事や子供のことで頭の中がぐじゃぐじゃになった時、整理するために箇条書きにしたり簡単な図にしたりする。煮詰まった時、一度冷静になって問題から少し距離を置くとより良い案が生まれることも。佐藤さんのようにユニークな発想が加えられるといいのだけれど…凡人にはなかなか難しい。

●佐藤さんも言っておられたけれど、私も寝起きに閃くことが多い。前日の夜、なかなか考えがまとまらなかったことも翌日の朝、洗顔したりハミガキをしている時にふっと答えが見つかったりする。やっぱり夜はさっさと寝て翌朝に備える方がいい。

●事件を解決するのに、指紋ならぬ「耳紋」が重要だなんて初耳。確かに耳って無防備かも…気を付けなくては。

●「差」について色々書かれてあった。なるほど日常において何かと何かの「差」は重要な要素となる。色々な数値も絶対的な数値よりも相対的な数値で見られて、それで他者と比較してしまって病むこともある。佐藤さんのように「差」を良い方向(マイナスを逆にプラスにする人間の余地←この発想がまたいい)にとらえられるといいのだけれど。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 佐藤雅彦
感想投稿日 : 2022年12月18日
読了日 : 2022年12月18日
本棚登録日 : 2022年12月13日

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