ルピナスさんは小さなおばあさん。幼いとき、おじいさんから遠い異国の話を聞くのが大好きだった。大人になるとおじいさんの想い出とともに世界中を旅してまわる。暑い国、寒い国、海辺の街、山の頂・・・。でもあるとき、ちょっとした不注意で、らくだから落ちて背中をいためてしまう。それからはもう、旅ができなくなってしまった。
そんなとき、記憶によみがえるおじいさんと約束。
「世の中をもっとうつくしくするために、なにかをしておくれ」
はたして、ルピナスさんは世界をうつくしくするために何をするのでしょう?
といった話。
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ここからはネタバレ。
ルピナスさんは自分の家のまわりだけでなく、村中にルピナスの種を蒔く。最初はけげんな目で村人から見られていたルピナスさんだが、春になり色鮮やかなルピナスが村中で開花すると、村人の目も変化した。変化の乏しい世界が彩り豊かな世界に変わり、花を愛でることで心にゆとりができた。子どもたちは花を慈しむことで優しい心をはぐくんだ。
村の人たちはいつしか親しみをこめておばあさんのことを「ルピナスさん」と呼ぶようになった。
「世界をもっとうつくしくする」という約束を、こうしてルピナスさんは果たしたのでした。
めでたし、めでたし・・・
ちょ、ちょっ待てよ!
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ここからは大人の感想
村中に繁殖力の強いルピナスの種なんて蒔いたら、在来種が駆逐されて生態系が変わってしまうだろうよ!
侵略的外来種のセイタカアワダチソウだらけになった日本の河原みたいに、原風景が失われてしまうよ。
ガーデニングでランタナを植えてしまったばかりに、ランタナにすべての養分を奪われ、丹精込めた他の植物を枯らしてしまうようなもんだよ。
いけないよ、そんな勝手なことをしちゃ、ルピナスさん。
やっぱり絵本というのは小さいときに読まないとダメだ。
- 感想投稿日 : 2016年6月6日
- 読了日 : 2016年6月6日
- 本棚登録日 : 2016年6月6日
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