血と暴力の国 (扶桑社ミステリー マ 27-1)

  • 扶桑社 (2007年8月28日発売)
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感想 : 63
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コーエン兄弟監督の映画「ノー・カントリー」が面白くて、原作が私の好きな作家、マッカーシー氏であることは知っていたのだけど、なぜか原作を読もうという発想がなくて10年以上は過ぎた。映画の印象が強く残って、原作を読もうという気にならなかったのかもしれない。映画でシュガーを演じたハビエル・バルデム氏がとても不気味だった。おかっぱ頭でジーンズにカジュアルなシャツを着た彼は、アメリカの風景に溶け込んでいてとても殺し屋には見えないのだけど、実際は残忍で表情をまったく変えずに人を殺す男だった。原作を読んで分かったのは、シュガーはシュガーなりの哲学があるということだった。だけど、とても特別な哲学で普通の人にはとても理解はできない。ただシュガーが人を殺すのは彼なりの使命があって、人を死なすことでなにかを与えようとしているように思えた。コーマック・マッカーシー氏はとても素晴らしい作家だとあらためて再確認できた作品だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年6月4日
読了日 : 2023年5月31日
本棚登録日 : 2023年5月31日

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