AKIRA DVD SPECIAL EDITION

出演 : 岩田光央  佐々木望  小山茉美  石田太郎  玄田哲章 
  • バンダイビジュアル
4.29
  • (77)
  • (17)
  • (39)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 206
感想 : 34
5

本編もさることながら、
特典映像がむちゃくちゃ面白かった。

芸能山城組の大橋力さんが言っていた、
近現代へのアンチテーゼというのは、
映画内においては、
ヘーゲルの弁証法的なアプローチのように思われる。

モダンな世界観とプリミティブな音楽を沿わせることで、
物語を止揚させようとしているのではないだろうか。

また、
「包囲する音楽」という概念は素晴らしい。
これは雅楽やケチャ(バリ島)の音楽の聴き方で、
聴く人が真ん中にいるスタイルらしくリズムは16ビートだそうだ。
ジェゴグやガムランなんかも多様している。
これはトランスしろと言っているようなものですな。
現在のサラウンドにも通じる話で面白かった。

近代的な、ある分野に特化した専門家ではなく、
もっと分野横断的な人間が時代のイノベーターたりうる、
ということが大橋力さんを見ているとわかるな。


映像面でいうと「けいおん!」に似ている。
「バカか」と思うかもしれないけれど、
大友克洋がインタヴィーでも言っているように、
アニメーションが元来持つ「絵が動く楽しさの追求」、
というところに共通点があるように感じた。
鉄雄の膨らむとことか、
でかいぬいぐるみのとことかバイクでこけることとか。

んで内容的には、
AKIRAは・・・まぁ原子力だよね、普通に考えれば。

「悪魔の火」を手にした人類が科学の慢心により痛い目に遭う。
まんま原発事故ですね。

その後も、
AKIRAを封印したその上にオリンピック会場を建設しちゃうあたり、
原発開発時のデインジャーというものがわかってない日本人的な感じが出ている。
日本人は基本的に神さまと戯れちゃう気質なので、
一神教的な唯一絶対の制御不可能な存在とすらも仲良くなろうとする。
だから、痛い目見ちゃうんだな。

そのあたり海外は知っていて、
ちゃんと「敬して遠ざけて」いるのよね。


最後は結局、
鉄雄たちは新しい宇宙に旅立ち、
金田とケイは新しい人類のアダムとイヴになりました。
という話なのだけれど、
どう考えても、ヒロインは鉄雄だよ。

というわけで、
今観るとBLモノとしても相当いける作品のように思われるなぁ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: アニメ
感想投稿日 : 2012年2月16日
読了日 : 2012年2月16日
本棚登録日 : 2012年2月16日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする