生き地獄天国: 雨宮処凛自伝 (ちくま文庫 あ 41-1)

著者 :
  • 筑摩書房 (2007年12月10日発売)
3.62
  • (19)
  • (16)
  • (32)
  • (3)
  • (3)
本棚登録 : 203
感想 : 26
5

こわれ者の祭典の会長でありワーキングプアの問題に取り組む雨宮処凛さんの自伝。
アトピー性皮膚炎が原因のいじめに苦しんで楽になりたくて足掻いた日々親に言わないことでかろうじて自分を保っていた。
ビジュアル系バンドの音楽に救われ音楽雑誌の読者投稿欄を通じてビジュアル系バンドのファンと繋がり自分の居場所を見つけビジュアル系バンドの追っかけにはまっていく日々。
追っかけをやっていても出口が見えない中でリストカットや家庭内暴力に走り、天野可淡という人形作家の写真集に触発され人形作家を目指すもアトピーで挫折。
地下鉄サリン事件をきっかけに右翼バンド結成、自分の中の漠然とした自分や世の中に対する怒りや違和感を初めて言葉で表現することが出来て生き甲斐を見つけるが、自分の価値観を右翼団体に委ね自分の弱さから目をそむけているだけじゃないか、本当に変えたいのは情けない自分じゃないかという迷いの中で右翼バンドを結成し映画「新しい神様」の撮影の中で借り物の言葉で自分の怒りを表現出来て、自分のことを少しは好きになれた。そして右翼団体の脱退。
プレカリアート運動や反原発運動など絶賛世直し活動中。自らの正義感と生きる実感と居場所そして本当に信じられる物を求めて疾走する人生。
青春が美しいなんて誰が決めた?
汗まみれ涙まみれになって、コンプレックスや無力な自分にいらだったり、決して美しくないけど、良識や常識を疑い自分が感じる違和感と怒りに忠実に立ち向かう、そんなやり方でしか自分の居場所、生き甲斐は手に入らないことを教えてくれる熱い自伝です。
「怒りを忘れ、意味のない理性や良識の中に逃げ込んで、無責任と無気力に浸かりきったオマエラ!オマエラがまずこの退屈な平和から脱却せよ!当たり前の怒りを言葉にしてみろよ!」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年12月17日
読了日 : 2022年12月17日
本棚登録日 : 2022年12月17日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする