親が始めた金物屋を引き継いだ葛城清は、美しい妻との間に2人の息子も生まれ、念願のマイホームを建てた。
思い描いた理想の家庭を作れたはずだった。
しかし、清の思いの強さは、気づかぬうちに家族を抑圧的に支配するようになる。
長男・保は、幼い頃から従順でよくできた子供だったが、対人関係に悩み、会社からのリストラを誰にも言い出せずにいた。
堪え性がなく、アルバイトも長続きしない次男・稔は、ことあるごとに清にそれを責められ、理不尽な思いを募らせている。
清に言動を抑圧され、思考停止のまま過ごしていた妻・伸子は、ある日、清への不満が爆発してしまい、稔を連れて家出する。そして、迎えた家族の修羅場。葛城家は一気に崩壊へと向っていく。
父親の清の顔色を伺ってリストラにあい自滅する長男や「一発逆転」が口癖で母など弱い者には甘えに甘えまくる次男や清たちに虐げられる妻もさることながら、なんと言っても三浦友和が演じた鬼のような父親で家族崩壊の元凶である清が、リアルで秀逸。自分以外の家族は支配し虐げて良いし、自分の言うことや価値観や命令に従うのは当たり前で、家族以外でも弱い者は言うことを聞かせるために虐げ倒す抑圧的な父親。
保がリストラされた会社も、社員の自尊心をへし折る典型的なブラック企業で、家族も企業も抑圧的な支配構造が幅を効かせている病んだ日本の現実を、葛城家の崩壊を通して描いた傑作ヒューマンドラマ映画。
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- 感想投稿日 : 2022年12月26日
- 読了日 : 2022年12月26日
- 本棚登録日 : 2022年12月26日
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