大学や大学院で、リーディングアサインメントが課せられる。その際、学習課題上の指示は適宜あるものの、実は基本的な文献の「読み方」が、丁寧に指導されているケースは少ないのかもしれない。本書は、社会科学分野の本の読書論が説かれているが、書籍となった本だけでなく、前述の文献課題を読むときにも必要な思考法として活用できるだろう。この思考法を一口にいえば、自らが「概念装置」を体得することである。概念装置を作り上げ維持していくことで、幾多の学説と対峙できるという。別な表現をすれば、先行研究をチェックするときに必要な視座や、論文中で議論を展開する際に用いる道具、といえよう。
「概念装置」の獲得には、①古典としての読みの習熟、②同語異議の例から異語同義の共通部分をなんとか見つけること、③対象である自然そのもの(学説ではなく)の観察・考察、といったことが求められている。つまるところ、概念装置とは、自分が苦労して得た、「認識手段」として活用できる「専門語の組み合わせ」である。この装置を用いて社会をとらえることが「社会科学」といえる。
読書状況:読み終わった
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調査手法
- 感想投稿日 : 2015年12月20日
- 読了日 : 2015年12月20日
- 本棚登録日 : 2015年12月20日
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