小川洋子の本は好きなのだが、いつも少し過剰さや違和感を感じながら読み終える。
現実と幻想が折り重なる作風は好きなはずなのに、言葉がすんなりと入ってこない。一言一言は素敵だなと思うのに、読み進めるうちに息苦しくなり、読むのを中断したくなる。
神経がみっちりと毛細血管のように張り巡らされ、わずかな風にもふるふると震えるような繊細さに、終いには疲れ切ってしまう。陶酔しきれない。自分が小川洋子でなくて良かったと、よく分からない安堵をして本を閉じる。
二回読みたいとは思わないことが多い。
耳の病気になった主人公と、魅力的な指を持つ速記者の微妙な関係を描く。指フェチの人はより深く共感できるかもしれない作品。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本作家
- 感想投稿日 : 2015年1月3日
- 読了日 : 2015年1月1日
- 本棚登録日 : 2015年1月3日
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