次作品の「一人交換日記」と比較すると、こちらはさわやかで、希望に満ちた読後感。
大学中退後、鬱になり、家族=親に対して良い子供であろうとする強制観念から、身動きできなかった筆者。
漫画を書くことが、はっきりとやりたい事としてあったのが救い。そしてプロとしてデビューできたこと。
いわゆる異性に興味がない人や、性的な欲求がない人も世の中にはたくさんいるはずで、その人たちにとって世間での「常識」は、重荷でしかない。
人と触れあうということ、安心感。
を得るために女性用の風俗に行くという考え方が新鮮だった。
体験における筆者の感想は、風俗体験においても高度なコミュニケーションが必要だった。というもので。
まさにそうだと思う。
筆者は自分を批評的に見る視点があり、だからこそ体験レポートのようなものを、面白く、きちんとツボを押さえてかけるのであろう。
もっとわがままに、自己をすごく肯定して、突き進む方が、本人の人生は生きやすい。
でも、そんな人はこの漫画を描けない。筆者の内省的な外の目を気にする性格だからこそこの漫画は面白い。
ただ、次作を見る限り、筆者の生きづらさは、続いていく。表現者はある意味このような傾向があると思う。
生きづらさがなければ、そんなに表現しなくても良くなってしまうのではないか。
筆者の生きづらさの軽減には、
自分がどういう性格か、強みを見極めて、自ら信じることが大事だと思った。
自分がどのような性格か、良いところと悪いところは表裏一体のはず。自己肯定感が高い人は良い面ばかりを見て、自己肯定感が低い人は悪い面ばかりを見る。
自分の良いところをしっかり自分に意識させる。「自分の味方は自分である」という状況をつくれるようになるといいなと思った。
簡単なことではないけれど。
- 感想投稿日 : 2018年12月6日
- 読了日 : 2018年12月6日
- 本棚登録日 : 2018年11月16日
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