静かに泣いた。
お国のために死ぬことが軍人の誇りであった時代に、
「妻のために帰りたいのです」と言い続けた男の物語。
人の命より、機や艦にかかるお金や組織とエリートたちの保身が優先されていた時代。
しかし蔑ろにされた命であったとしても、何かのために命をかける決意をした若者たちの時代。
戦争の内側を後世に伝え続けないといけないですね。
米軍は飛行機は作りなおせば復活できるが命は失うと取り戻せないと考えた。
日本軍は戦闘機が壊れると大金がかかるが人は赤紙1枚だけで補充できると考えた。
命を大切にしたことで、過ちを持ち帰り、伝え、組織と個人を強くしていった米国。
命を疎かにしたことで、過ちを封印するしかなく、過ちを繰り返す道を突き進んでいった日本。
戦争の悲惨さを伝えるだけの物語ではありません。
戦争という狂った時代を通して、人と組織の愚かさを伝えつつ、人の強さ、純粋さをも伝えています。
夏の一冊として後世に読み継がれて欲しいと切に感じた本です。
私の本棚にまた1冊大切な本が増えました。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
文学・評論
- 感想投稿日 : 2012年8月26日
- 読了日 : 2012年8月26日
- 本棚登録日 : 2012年8月25日
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