消費社会の神話と構造

  • 紀伊國屋書店 (1995年2月16日発売)
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「私は高い物を買えるんだ」という富と社会的地位を誇示するための消費。消費されるものは社会的地位を示す記号。見栄。物の直接の(本来の)効用(使用価値)だけでなく顕示的な側面。→資本主義批判へ。ソースティン・ヴェブレンVeblen『有閑階級の理論』1899

友人や近所の人がある商品を持っていると自分も欲しくなる。個人の消費が、その人が接触する他人の消費行動から影響を受ける。個人の消費にかんする意思決定はそれぞれ独立してなされるのではない。デモンストレーション効果。ジェームズ・デューゼンベリー『所得・貯蓄・消費者行為の理論』1949

昔の社会は貧しく最低限の欲求(衣食住)を充たすことに精一杯だった。しかし産業化した社会では膨れ上がった欲求は操作され、消費が喧伝される。欲しいから買うのではなく、広告・宣伝で「欲しい」と思わせられている。消費者の欲望を充たすために生産されるのではない。生産によって消費者の欲望がつくり出される。消費者の欲望は生産に従属している。ジョン・ガルブレイス『ゆたかな社会』1958

他人がある対象を欲していると自分も欲しくなる。人は他人の欲望を模倣する。ルネ・ジラールGirard『欲望の現象学』1961

「自分は周りの人間とは違う」。モノは他人との差異を表示するための記号。高級車、ブランド品。「他人とは違う自分らしさ」(差異)をアピールするための記号(情報)。商品の記号(e.g., レア, エコ/ロハス, 期間限定, シリアルナンバー, ヴィンテージ, 会員制, 創業〇年)。一方、商品の使用価値(丈夫, 長持ち, 正確)。▼誇示的な消費は都市でより顕著。知らない多数の他人からのまなざしに晒されている。村落だと、周囲の数人に「私すごい」と誇示しても、すぐに周知されてしまう。都市だと次から次へと「私すごいでしょ?」ができる。▼誇示的な消費は大衆一般に広がっている。自宅はボロアパート、食費を削ってでも、ブランド・高級品がもつ記号を買う。▼個人を超えた無意識の社会的強制(構造)として個人に押し付けられる。ジャン・ボードリヤール『消費社会の神話と構造』1970

工業(モノ)から、知識・情報(非モノ)への移行。ダニエル・ベル『脱工業社会』1974

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カテゴリ: 社会学・政治学
感想投稿日 : 2021年7月9日
本棚登録日 : 2021年7月9日

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