天切り松 闇がたり 1 闇の花道 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (2002年6月20日発売)
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本棚登録 : 2571
感想 : 232
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痛快と言うわけではないが、苦しき中で粋に生きる人の強さと言うものを感じさせてくれる小説。
今の時代の価値観や世界観、人生観とは違う何か大切なものの見方を教えてくれている様な気がする。
ただの人情噺で哀れというのではなく、強く生きる力を感じさせてくれる。それは、解説で言われる、振り返って自己解釈する物語ではなく、過去から現在を照射する未来を照らす選び取る視点で描いた物語だからということなのかもしれない。
前者の視点は勝者の視点で、その視点から描くのが歴史。後者の視点は消えゆく者や敗者の視点で、その視点から描くのが物語。そう言う解説で、この物語の視点と、『童の神』や水滸伝などの敗者を描いた物語に心惹かれる理由に思い当たる。
この本のメッセージや価値をまだまだ、十分には味わい尽くせていない自分が居る。もっともっと、人生修行が必要な様だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2022年1月23日
読了日 : 2022年1月23日
本棚登録日 : 2022年1月23日

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