東京バンドワゴンが刊行されたときからずっとファンである小路幸也の作品なので読んでみた。
東京バンドワゴンよりも読みやすいように感じたので、まだそちらを読んでいなくて、小路幸也の作品ってどういう感じ?ということが気になる人は読んでみてはいかがか。
あと音楽の演奏が好きで、でも今はあんまりそういうことができていない、という方は特に共感できて良いかもしれない。
かつて(もしくは今)同じ夢を持っていたのに、そういうことは恥ずかしいと思ってしまい、会話に出さない人が多いかもしれない、と読んでいて感じた。
もしかしたら電車で隣に座っている人も好きな映画が同じかもしれないし、今日行こうと思っていたレストランに昨日行っていたかもしれない。
・・・だからと言って、無闇の周りの人に喋りかけよう、ということではない。
それにしても、見た目のみならず普段接している他人のイメージというのは、ほんの一部の面に過ぎないのに、幾つかの面だけを見て、あの人はこういう人だ、と決め付ける人が多いと感じる。
そういえば作品の中でも少し変わった引きこもりの少年が出てくるけど、この少年も見事に姉に誤解されている。
あと、ものごとは複合的に絡み合っているわけで、ひきこもりの原因はいじめである、みたいに物事の因果関係が単射のような構造であることはほとんどないと思う。
でも多くの人はそう思っていないみたいだ。
たぶん、単射的な構造はわかりやすいから安心したいのだと思う。
たとえ、それが真実でなくても。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
純文学
- 感想投稿日 : 2014年1月19日
- 読了日 : 2014年1月19日
- 本棚登録日 : 2014年1月19日
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