マドンナ (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2005年12月15日発売)
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本棚登録 : 5142
感想 : 616
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「ガール」が働く女性側の話であるのに対して、
この「マドンナ」は働く男性側の話
まるで対のようであった

男性は男性で、家のローンを抱え、子供の教育に頭を悩ませ、親を看取る心積もりもしなくてはならない
(これらは、何も男性に限ったことではないが)

会社では、上司と部下の狭間で気を使い、同期の行方も気になる
いろんなものを背負わなくてはならなくなる40代の男性

みんな大変なんだ、男性も女性も生きていくのは大変だ
などと思いつつ、人事異動で自分の課に入ってきた女性社員に胸を躍らせ、寝ても覚めても心を奪われる春彦をみて
あーあ、男って馬鹿だなと笑うしかなかった
                  「マドンナ」

私的には、最後の「パティオ」が好きだな
会社が再開発した港パーク、当初の思惑が外れすっかり寂れている
その一角のパティオと呼ばれる中庭で、一人静かに読書する老人に故郷で妻に先立たれ一人暮らしをする自分の父親の姿を重ね合わせ、心を通い合わせていくという話

昨年末に亡くなった父を思い出し、無性に父が恋しくなった

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年10月17日
読了日 : 2020年10月16日
本棚登録日 : 2020年10月14日

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