ガール (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2009年1月15日発売)
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「女は三界に家無し」という古い言葉がある
幼い時は親に従い、嫁しては夫に従い、老いては子に従い、どこにも自分の意のままになる落ち着ける場所がないということだ

女性の社会進出で女性の地位が向上しても、やはりいろんな束縛や偏見やに苦しめられるのは女性なのか
◯◯適齢期なんて、そもそも女性にしか使われないのでは
結婚適齢期、出産適齢期・・・何といろんな縛りの中で女性は生きていかざるをえないのか

しかし、ここに登場する女性たち、とても逞しく力強く
強かに生きている
男性に言いなりになんてなっていない
やっちゃえ、やっちゃえ!と拍手喝采したくなった
楽しい!おもしろい!

『ガール』の中にこんな一節がある

「きっとみんな焦っているし、人生の半分はブルーだよ
既婚でも、独身でも、子供がいてもいなくても」

「女は生きにくいと思った。どんな道を選んでも、ちがう道があったのではと思えてくる」

『ワーキング・マザー』の中にはこんな一節も
「女同士は合わせ鏡だ。自分が彼女だったかもしれないし、彼女が自分だったかもしれない。そう思えば、やさしくなれる」

要は、無いものねだり、『隣の芝生は青い』
自分が選んだ道を最善と信じて、生きていくしかないのかもしれない

この本を読まれた男性諸氏が
「女性は大変だね」の言葉だけで、片付けては欲しくない気がする
男性にも責任の一端はあるような・・・

『ヒロくん』に出てきた武田聖子の夫博樹のような、
この前に読んだ「家族のヒミツ」の『虫歯とピアニスト』に出てきた孝明のような男性がもっともっともっと増えてくれればいいのになあと思う

それにしても奥田英朗さん、どうしてこんなに女性心理が分かるんですか?
面白すぎなんですけど・・・

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年10月14日
読了日 : 2020年10月14日
本棚登録日 : 2020年10月12日

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