一瞬の風になれ 第三部 -ドン- (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2009年7月15日発売)
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感想 : 481
5

いやあ、よかった! 
手に汗握るとはこのことか
インターハイ予選の南関東大会
応援に来た先輩たちが手縫いの春高カラーのブルーの鉢巻を手渡す場面では、涙が込み上げてきた
そして、4継の決勝場面では、鳥肌が立った

新二が実況中継しているかのようにレース前からレース中の心情や、様子を短い言葉で語るので、こちらまで緊張が高まり一緒に走っているかのような気になった

欲張る、頑張る、闘魂などにとんと無縁の一ノ瀬連が欲を見せ出した
100mだけでなく200mにも。仙波だけでなく新二をもライバルとし、負けたくないと公言
こうなれば、春高にとって、怖いもの無しだ

新二が連をここまで引っ張り、連が新二をここまで伸ばしたのだろう

性格問題ありの1年の鍵山だったが、徐々に心を開き、
メンバーの4人の絆が深まる。いや4人ではない、補欠の根岸と後藤の6人の絆
一人ひとりの走りを4人みんなで感じる。バトンを直接つなぐのは二人だけど、いつも4人を意識する。人と人との繋がりに飽和状態なんてないのかもしれないという

総体に行くためだけでなく、タイムを出すためだけでなく鷲谷と戦うためだけでなく、何より俺たち4人でチームを組めたことのために走りたいと誓う新二

日本のお家芸とも言われる見事なバトンパス。
リオオリンピックの日本代表チーム、山縣・飯塚・桐生ケンブリッジ飛鳥のリレーを思い浮かべながら読んでいた

リレーの素晴らしさを改めて教えてもらった気がする

久しぶりに胸が沸き立つワクワク感を楽しんだ
文句なしの⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年2月14日
読了日 : 2021年2月14日
本棚登録日 : 2021年2月12日

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