ソロモンの偽証 第I部 事件

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  • 新潮社 (2012年8月23日発売)
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クリスマスの夜、雪の校庭に急降下した柏木卓也14歳
彼の死を巡り、乱れ飛ぶ様々な憶測と次々に起こる怪事件

関係者全員、学校全体が、まるごと何者かに取り憑かれたように、壊れていく・・・

卓也の兄、宏之は言う
卓也はただ繊細なだけの弱虫なんかじゃなかった。あいつは策士だった。他人を操っても他人に操られるなんてことはない
こんなバカどもを操ってたって、もう別に楽しくも何ともないや。退屈だ。ついには世の中というものも、生きるということも見限ってしまったのだ。だから死んだ
でも、ただ死んだのではない。自分の死があとあとまで "生きる"
方法を選んで死んでいった

柏木卓也の死の真相はどこにあるのか

不登校だった卓也に対して、何の関心も示さなかった級友たちが告別式で泣き崩れる様を見て、困惑と違和感を感じる藤野涼子

泣けない自分に対して?
人がが死ぬということへの不満?
何に対する怒りかはわからない。ただ心の中の小さな小さな声が理不尽だと訴えている

そして、涼子は
「自分たちで真実を見つけます。あたしたちは自分で知るべきだと思います」
と言って、立ち上がり、第Ⅱ部 「決意」へと続く

741pの大作だったが、息もつかせぬ展開に魅了されてしまった

14歳というとても不安定で多感な時期の青少年の心理描写は、何よりうまいし、共感できた
大人には、なりきっていないけれど、子どもだからと無視もできない、複雑で脆くて、壊れそう、それでいて、冷たくて辛辣な心
人はみんな、こんな危うい時期を経て、大人になっていくのだなと思う

今後、どんな展開になっていくのか、第Ⅱ部が楽しみだ




読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2019年8月13日
読了日 : 2019年8月13日
本棚登録日 : 2019年8月8日

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