チョコレートコスモス

著者 :
  • 毎日新聞社 (2006年3月15日発売)
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感想 : 574
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いやはやおもしろかった!

何かわくわくするようなことがそこで始まるという予感。この扉の向こうに、この世のものでない素晴らしい世界が広がっているという予感。今は誰もいないけれど、溢れざわめく観客の息遣いが聞こえるような気がするーーー文中にある劇場の無人のロビーの描写だが、まさしくこんな気持ちでこの本を開いた

そして516ページの分厚い本を開いた途端、ライトを落とした暗い客席に座り舞台を見つめる一観客になり、劇団ゼロ旗揚げ公演『目的地』や新国際劇場こけら落としのためのオーディションを見つめていた
『開いた窓』二人で三人を演じてみせるという女優としての力と知恵の見せ所
大女優岩槻徳子、売れっ子アイドル安積あおい、期待の新鋭宗像葉月、そして舞台に立つのは今回が3回目という佐々木飛鳥の演技
家事もそっちのけで読み進めた

さらに、四人の候補に絞られ二次オーディション
演劇界のサラブレッド東響子の『欲望という名の電車』のブランチ役の一人芝居でその陰を演じるという難題
四人四樣の演技、おもしろい!

文字を追いながらも、頭の中には女優の声が響いていた
この一冊でいろんな演劇を見ることができたようで得した気分だ

すごい! 女優ってすごい! 女優というのは化け物だといった人がいたような・・・まさしくその通りと思う

恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」のピアノ演奏の描写にも驚かされたが、この演技の描写にも度肝を抜かれた
参りました

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年2月22日
読了日 : 2020年2月22日
本棚登録日 : 2020年2月21日

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