本作は、個人的に伊坂作品のかなり上位に食い込む大好物・絶品でした! この頃の伊坂さん、ギャング、殺し屋、死神‥と、ほぼ同時期にシリーズ第1作を世に出し、凄いの一語です。次々と湧き出るその豊かな才能は、まさに「打ち出の小槌」ならぬ「打ち出の伊坂」ですね。
主人公の死神・千葉が情報部の命を受け、人の死を見定め、「可」か「見送り」かを調査・報告するため世に出向き、6人の人生に立ち会います。
死神・千葉の一人称「私」視点で展開しますが、千葉のキャラ設定が際立ってますね。人にも死にも興味がなく、業務の一環としてクールだけどちょっと滑稽でズレてる、さらに時に含蓄ある話をするくだりが、伊坂さん特有の軽妙な筆致で見事です。
この上手さが、死を扱っているけれども重くならずにサラッとした印象を与え、時に清々しさや感慨深ささえ感じさせます。
読み手は、「死」と向き合っているはずなのに、知らぬ間に「限りある生」を考えてしまいます。千葉目線で6人の人生を憐んでみても、人間て何と面倒くさく厄介な生き物なのかと、結局自分事と捉えさせられます。伊坂さんの人生エールのメッセージ性も感じ取れました。
6人の人物設定の違いはもちろん、内容展開でもハードボイルド、王道本格ミステリー、恋愛小説、ロードノベル、人情噺と、各話とも趣を変え楽しませてくれます。
最終話で気付く時間超越の妙と爽快感‥。また伊坂さんの魅力が増え、良質の読書時間でした。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2024年3月2日
- 読了日 : 2024年3月2日
- 本棚登録日 : 2024年3月2日
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コメント 6件
ゆーき本さんのコメント
2024/03/02
NO Book & Coffee NO LIFEさんのコメント
2024/03/02
こっとんさんのコメント
2024/03/06
NO Book & Coffee NO LIFEさんのコメント
2024/03/06
こっとんさんのコメント
2024/03/06
ゆーき本さんのコメント
2024/03/06