死神の精度 (文春文庫 い 70-1)

著者 :
  • 文藝春秋 (2008年2月8日発売)
3.87
  • (3966)
  • (5664)
  • (4686)
  • (476)
  • (63)
本棚登録 : 44760
感想 : 3494
5

 本作は、個人的に伊坂作品のかなり上位に食い込む大好物・絶品でした! この頃の伊坂さん、ギャング、殺し屋、死神‥と、ほぼ同時期にシリーズ第1作を世に出し、凄いの一語です。次々と湧き出るその豊かな才能は、まさに「打ち出の小槌」ならぬ「打ち出の伊坂」ですね。

 主人公の死神・千葉が情報部の命を受け、人の死を見定め、「可」か「見送り」かを調査・報告するため世に出向き、6人の人生に立ち会います。

 死神・千葉の一人称「私」視点で展開しますが、千葉のキャラ設定が際立ってますね。人にも死にも興味がなく、業務の一環としてクールだけどちょっと滑稽でズレてる、さらに時に含蓄ある話をするくだりが、伊坂さん特有の軽妙な筆致で見事です。
 この上手さが、死を扱っているけれども重くならずにサラッとした印象を与え、時に清々しさや感慨深ささえ感じさせます。

 読み手は、「死」と向き合っているはずなのに、知らぬ間に「限りある生」を考えてしまいます。千葉目線で6人の人生を憐んでみても、人間て何と面倒くさく厄介な生き物なのかと、結局自分事と捉えさせられます。伊坂さんの人生エールのメッセージ性も感じ取れました。

 6人の人物設定の違いはもちろん、内容展開でもハードボイルド、王道本格ミステリー、恋愛小説、ロードノベル、人情噺と、各話とも趣を変え楽しませてくれます。
 最終話で気付く時間超越の妙と爽快感‥。また伊坂さんの魅力が増え、良質の読書時間でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年3月2日
読了日 : 2024年3月2日
本棚登録日 : 2024年3月2日

みんなの感想をみる

コメント 6件

ゆーき本さんのコメント
2024/03/02

本とコさん こんばんはᐕ)ノ
千葉ー!好きです!
雨の日にヘッドホンでミュージック♬.*゚
次男が「死神の浮力」も面白かったと言っておりました。

NO Book & Coffee NO LIFEさんのコメント
2024/03/02

ゆーき本さん、こんばんは〜♪
おっしゃる通りでしたー! 面白かったー!
殺し屋はコンプしたものの、ギャングと死神は
まだ第1作のみ!トホホ‥
長期作戦で頑張りますᕦ(ò_óˇ)ᕤ

こっとんさんのコメント
2024/03/06

本とコさん、おはようございます♪
「AX」派の本とコさんのお薦めと聞いたら読まずにいられないじゃないですかー
また、家事する暇がなくなるー٩( ᐖ )۶

NO Book & Coffee NO LIFEさんのコメント
2024/03/06

こっとんさん、これ間違いないです!
ゆーき本さんも「千葉ー(主人公の死神)好きー!」
と仰っております。

こっとんさんのコメント
2024/03/06

ゆーき本さん、はじめまして♪
ゆーき本さんもお薦めの死神シリーズトライしてみようと思います(о´∀`о)
楽しみが増えるーヾ(´︶`*)ノ♬

ゆーき本さんのコメント
2024/03/06

こっとんさん こんにちは(* ˊᵕˋ )ノ
雨模様のすっきりしないお天気の日におすすめです。私も死神の浮力は未読なので読みたいと思います。ギャングシリーズも本棚にあるんだよなぁ。そちらもいつか(*´`)

ツイートする