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彩加が取手の駅中書店の店長になってから一年半、ようやく仕事が軌道に乗り始めたと感じていたところ、本社から突然の閉店を告げられる。一方、編集者の伸光は担当作品『鋼と銀の雨が降る』のアニメ化が決定して喜ぶものの、思わぬトラブル続きとなり……。逆境の中で、自分が働く意味、進むべき道について、悩む二人が見出した答えとは。書店を舞台としたお仕事エンタテインメント第六弾。
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今回の主役は、取手のエキナカ書店、本の森の店長の彩加と、東京の疾風文庫の編集長・小幡である。片や、やっと軌道に乗ってきた書店の閉店を告げられ、片や、小説のアニメ化に伴う駆け引きに悩まされ、それぞれがこの先進むべき道を手探りするなかで、周囲との関わりに助けられ、一歩ずつ進んでいく物語である。たくさんの理不尽と、本音と建て前、大人の事情や思いやるからこその葛藤。それぞれの心の動きが、それはもう溢れるほどに伝わってきて、読んでいるこちらまで苦しくなってくる。あっちもこっちも切ないが、助けてくれる人も必ずそばにいて、なんとか拓けていくのである。新しい一歩を踏み出そうと思わせてくれる一冊である。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
あ行の作家
- 感想投稿日 : 2017年9月1日
- 読了日 : 2017年9月1日
- 本棚登録日 : 2017年9月1日
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