彼岸過迄 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1952年1月22日発売)
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バブル期のトレンディドラマのような、どうでもいい男女の空騒ぎがいつまでも続く。けれど普段から自分の仕事、事業、実績、学業などがどの様に評価されているかが気になって仕方ない現代人の小市民性と、その気もないのに千代子のことでイチイチ嫉妬する市蔵の自意識が重なる。世の中と接触する度に内へとぐろを捲き込み、刺激が心の奥に食い込む性質というのは鬱陶しいが、巷説の新型「うつ」だと原因を外に求めて、これっぽちも自分の責任を考えないという点で全く違うし、流石の漱石もそこまで現代の病魔が進むとは考え及ばなかったに違いない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本文学
感想投稿日 : 2013年10月16日
読了日 : 2013年10月16日
本棚登録日 : 2013年10月16日

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