短編集。
井上靖に対しては、同じようなテイストの小説を多産する流行作家のようなイメージを持っているが、氏の「西域もの」はその限りではない。
明らかに他の量産作品群と「西域もの」との間には、クオリティの差が存在している。このテーマに対する著者の没入度の深さが、おそらく異なる。
本編を離れた話だが、山本健吉が解説で次のように書いている。
「人間の行為の意義、無意義を分つものは、人間の意志を超えている。人間の歴史は、結局人間行為の無数の捨石の上に築かれているのだから」。
井上靖の「西域もの」の解説として、これ以上のものはないのではないかと思える。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本の短編・中編
- 感想投稿日 : 2021年1月21日
- 読了日 : 2021年1月21日
- 本棚登録日 : 2021年1月13日
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