楼蘭 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1968年1月29日発売)
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本棚登録 : 506
感想 : 48
3

短編集。

井上靖に対しては、同じようなテイストの小説を多産する流行作家のようなイメージを持っているが、氏の「西域もの」はその限りではない。
明らかに他の量産作品群と「西域もの」との間には、クオリティの差が存在している。このテーマに対する著者の没入度の深さが、おそらく異なる。

本編を離れた話だが、山本健吉が解説で次のように書いている。

「人間の行為の意義、無意義を分つものは、人間の意志を超えている。人間の歴史は、結局人間行為の無数の捨石の上に築かれているのだから」。

井上靖の「西域もの」の解説として、これ以上のものはないのではないかと思える。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本の短編・中編
感想投稿日 : 2021年1月21日
読了日 : 2021年1月21日
本棚登録日 : 2021年1月13日

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