チリの奇才、ホセ・ドノソが超大作(別荘)を脱稿した後に、作家自身が単純に書く喜びを思い出すために書いた(と本書の解説にある)軽妙な小説。
ニカラグアのスペイン大使の美貌の娘が、スペイン貴族の青年侯爵に嫁ぐが、青年の不慮の死により新婚生活はあっという間に終わりを告げる。
異邦の地で、妖しい親族とその友人たちに囲まれ、心も体も満たされぬ若き侯爵夫人は、次第に幾人かの男と関係していくが、満たされることはない。
おそらくドノソ自身がパロディとして楽しんでいるのであろう。全編を覆う性愛描写は、蕾であるとか、三流エロ小説のような苦笑せざるを得ない描写。それがこれでもかと出てくる。
若き侯爵夫人の男関係の迷走感と、それら三流エロ描写が、ここでは思わぬ「おかしみ」を演出しており、単純に笑えてしまうところが不思議だ。
気を張らずに、変な小説を軽く読みたい方にお勧め。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ラテンアメリカ・カリブ海文学
- 感想投稿日 : 2018年6月23日
- 読了日 : 2018年6月23日
- 本棚登録日 : 2018年6月17日
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