ルリボシカミキリの青

著者 :
  • 文藝春秋 (2010年4月23日発売)
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本棚登録 : 586
感想 : 73
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分子生物学者のエッセイ集。

ダイレクトに生物学の話というよりは、日々のよしなしごとから連想される話題が多く、これまで読んだ『動的平衡』、『生物と無生物のあいだ』よりちょっと日常的な色が多いところが特徴。
これまでの著作とかぶる内容も多いが、ノックアウトマウスのその後の研究成果だったり、少し視点を違えたりとどれも興味深い。ひとつのテーマで概ね3ページ程度のものが多く、内容的には浅いのが残念だが、そういう書き物なのでそこはしょうがない。他の本を読もう。

それにしても、著者自身も裏テーマと言っている教育に関する洞察、向き合い方が秀逸。一番心に響いたのは(文言は厳密ではないが)”教科書的に事実を伝えてもしょうがない。なぜそうなったのか、どんな議論があったのか、自分がおもしろいと思ったこと、感動したことを伝えることが大事”というものである。全くそのとおりだ。

著者の文章から、このことがにじみ出しているのがまた素晴らしい。
きっと授業もおもしろいんだろうなぁ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 自然科学
感想投稿日 : 2010年11月26日
読了日 : 2010年11月26日
本棚登録日 : 2010年11月24日

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