科学者とは何か (新潮選書)

著者 :
  • 新潮社 (1994年10月17日発売)
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感想 : 12

 「科学者」について、実際のその姿を脳裏にありありと思い浮かべられる人は、いったいどのくらいいるのでしょうか。また、思い浮かべられたとして、その科学者のイメージは、ほんとうに当を得たものなのでしょうか。

 本書は、巷に流布するイメージとは大きく異なる「科学者集団の真の姿」について、科学史・科学哲学の分野の第一人者である著者が、平易に解説したものです。

 「唐木順三が言い遺したこと」という第1章から、「誰に、どう責任をとるのか」という終章まで、ほぼ独立した章ごとに、科学者論が述べられています。全体を通じて、「科学者」は、歴史上どのように形成され、今どのような状況にあるのか、そして今後はどのように在るべきなのかが、わかりやすく語られています。また、巻末には、1ページの簡単なブックガイドもついています。

 新潮「選書」の1冊ということから明らかなように、本書は専門書と言うよりは、一般読者を意図された本です。そのため、非常に平易に書かれています。しかしだからといって、決してありきたりの凡庸な内容ではなく、示唆に富む指摘が随所にちりばめられています。読者は、科学や科学者について、何度も考えさせられるはずでしょう。

 村上氏の著作は多数ありますが、価格と内容や入手のしやすさという点からは、学生の皆さんに最初の一冊として薦められる本です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本(仕事)
感想投稿日 : 2010年5月4日
読了日 : 2010年5月4日
本棚登録日 : 2010年5月4日

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