春風ぞ吹く―代書屋五郎太参る (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2003年9月28日発売)
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本棚登録 : 379
感想 : 38
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春風ぞ吹く…まさに読み終わった時の感想はこの一言に尽きる。

なんて素敵な物語だろう!

宇江佐真理さんの作品を読み続けていると、こうして完結している作品の収まりの良さのようなものに、しみじみと喜びを感じます。

宇江佐真理さんがもしもこの先を描き続けることができたなら、どんな風景を見せてもらえたのだろう?と、残念な気持ちになる作品もあるのですが、それはもう、読んでいる自分が心に思い描くよりほかないのです。宇江佐真理さんがもしも今も書き続けていられたなら、それがどんな結末であったとしてもきっと僕が思い描くような結末でなかったとしても、しみじみと心に沁みる結末なのだろうと思います。

この作品を読んで、この収まりの滑らかさはきっとどの作品にも存在したのだろうと思わされました。

何度も繰り返し読み返したい作品、それが宇江佐真理さんの紡いできた世界なんだと改めて思わされました。

素晴らしい作品です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年8月22日
読了日 : 2023年9月13日
本棚登録日 : 2023年8月17日

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