刑事マルティン・ベック 消えた消防車 (角川文庫)

  • KADOKAWA (2018年4月25日発売)
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本棚登録 : 94
感想 : 14
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シリーズ第五作も相変わらずの完成度。

序盤は派手だが、その後は一進一退の膠着状態。手繰り寄せる手掛かりもなく、ただ分析結果を待ってる間にも、捜査チームの面々は、旅行やホーム・パーティーと、フツーに家庭人としての日々を送っている。使命感でがんじがらめになるのではく、単なる職業として淡々と職務をこなすそのスタンスがなんかいい。

今回のベックはスーパーサブとでも言うのか、大いなる脇役といった感じ。センターに座った刑事のキャラはなかなかで、捜査チーム内での人間ドラマの味付けに一役買っている。反目し合ったり協力したりと、メンバー同士の位置関係に注目しながら読むのも一興かも。五作目ともなると、それぞれのキャラが立ってきていい感じに旨みが出てくる。

謎解きは相変わらず地味。でもそつがない。余白を持って淡々と進んでいく筆致に余裕を感じます。多分このシリーズは全体の雰囲気や風味を味わうシリーズなのだと思う。もちろん捜査や謎解きも面白いけど、読了後にふっと感じる上質な旨みが何とも言えなくてついついリピートしてしまう。なのに本作で打ち切りとは。わけわからん。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外ミステリ
感想投稿日 : 2018年6月23日
読了日 : 2018年6月23日
本棚登録日 : 2018年6月23日

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