天使と罪の街(下) (講談社文庫)

  • 講談社 (2006年8月12日発売)
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本棚登録 : 207
感想 : 18
3

ボッシュはもちろん、テリー・マッケイレブやポエットまで、ファミリー総出演。ボッシュ・シリーズは順序通りに読む必要はないと思うけど、本作品だけは別。作中でがっつり『サ・ポエット』の犯人についてネタばらししてあるので、必ずそちらを先に読みましょう。

私立探偵になっているボッシュだが、中身は警察小説のまんま。探偵というカラーが目立っているとも思えないし、刑事時代と違うのはバッジの有り無しだけという気もする。まあ、前職時代から一匹狼スタイルで捜査をしてきたボッシュなので、それが私立探偵になっても特に違和感は感じないが。

高度に知的な殺人犯──よく目にするキャラだが、このタイプの取扱いって実は難儀だったりするのでは? 無関係に思えた物証を足掛かりに隠れ家を特定。捜査員が踏み込んだ途端にトラップ発動で大爆発。犯人の方が一枚上手だったという皮肉なオチだが、これが行き過ぎると、緊迫の展開を飛び越えてただのSFになっちまう。先の先の先を読むなんてこと、タイムマシンにでも乗ってない限り無理っしょ、とかいう具合に。そういうことをチラチラと思いながら、本作品を楽しんでみた。

クライマックスにアクションをもってくる“お約束”についてはさすがに食傷気味。ここがアメリカと北欧の違いだったりするのかしら。でも今回はいろいろとケリがついていくので、今までの既読シリーズを思い返しながらの終盤になった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外ミステリ
感想投稿日 : 2013年4月27日
読了日 : 2013年4月27日
本棚登録日 : 2013年4月27日

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