灰色の密命(下) 1919年三部作 2 (講談社文庫)

  • 講談社 (2017年3月15日発売)
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本棚登録 : 51
感想 : 9
3

ゴダードのスパイ小説にも慣れてきた。慣れてくるとこれはこれで心地いい。キレキレの展開ではなく、いい意味での「ゆるさ」のせいか、ページを繰る手ももどかしくほぼ一気読み。

第一部で提示された謎のキーワードが明らかになる第二部では、マックスとその仲間たちがともに多難を乗り越えながら結束を強めていく様子が描かれており、キャラクターひとりひとりに一層共感できる内容となっている。敵味方の構図も明確で、“ラスボス“レンマーの前に立ちふさがるであろう戸村伯爵親子がとにかく不気味。この時代の悪徳政治家ってこんな感じなのかな、凄みの持たせ方が巧いなーと思ってしまった。

小さな謎が集約していく先は「ファンゴールド」。サー・ヘンリーとファンゴールドの複雑な結びつきを、ひねりと驚きに富んだ展開の中でじわじわ明かしていく手並みは、ゴダードならではの鮮やかさ。それぞれの想い、使命を秘めたまま、いよいよ次作は日本で全員集合の最終章。予想の上をいく真相に期待しています。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外ミステリ
感想投稿日 : 2017年6月8日
読了日 : 2017年5月20日
本棚登録日 : 2017年5月20日

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