宿命の地(下) 1919年三部作 3 (講談社文庫)

  • 講談社 (2017年5月16日発売)
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感想 : 9
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最終章はまさに日本で「全員集合!」

近代化の進みつつある都市部から、その影響が及んでいない地方まで、大正時代の本州各所の風景が情緒豊かに再現されている。こんなドラマチックな物語の締めが日本でいいの? と不安になったけど、前二作よりストーリー展開が単調になっているわけではない。スイスのレマン湖周辺がもうひとつの舞台に設定され、ここでも大胆な作戦行動が繰り広げられる。

言葉の通じない異国で敵に気付かれぬよう行動を制限されるマックスたち。裏切りや謀略といったスパイ色が強かった前二作に比べて、本作品は「脱出」が大きなテーマ。持ち駒も協力者も少ない中で窮地に陥るという目の離せない展開を経て、ストーリーは波乱のクライマックスに突入する。

終盤近くに挿入されたあるシーンが印象的。この壮大な物語を振り返って、親子の絆や受け継がれる気質、時代の流れが導いた運命的な出会いに感慨を覚えて、あー、やっぱりゴダード作品なんだなと痛感させられたのが嬉しかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外ミステリ
感想投稿日 : 2017年7月17日
読了日 : 2017年7月17日
本棚登録日 : 2017年7月8日

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