『推定無罪』は映像でしか観てないので、文章としてのトゥローは初体験。
前半は事件が起きるまでのそれぞれの関係と思惑を描き、後半はサビッチを被告とする法廷シーンで、検察側と弁護側の攻防と駆け引きが繰り広げられる。こってりコクのある文体で、リーガル・サスペンスではあるけれども、文学作品としての印象が強い。
作中での人間ドラマはソープオペラっぽいけど、洗練された複雑さが、ありきたりの愛憎劇を掘り下げて映し出している。だが誰一人として共感できない。全員、どこか一部が破綻しており、個々の動機については理解する気にさえなれなかった。長い物語を読むに値する作品だけれども、どこかで引いて読んでしまった分、世間ほどは傑作だと実感できず。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
海外ミステリ
- 感想投稿日 : 2012年10月17日
- 読了日 : 2012年10月17日
- 本棚登録日 : 2012年10月17日
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