絵画と贋作と中年の恋──この三点だけしか出てこない。よってミステリ要素はゼロ。あらすじには“心理スリラー”と表現されているが、それにしたってかなり苦しい解釈だと思う。
浮世離れした資産家の主人公、お金に執着する奔放な女性、名画の贋作、こういう舞台が整っているにも関わらず、平坦な展開で済ませているのがある意味スゴイかも。なにも起こらないから終盤に向けて期待感は高まっていく。しかもストレスを含んでいるので、そのボルテージたるや結構なもの。決着のつけ方も手緩いため、部分部分で評価しない方がいいのかな。でもトータルで見ても面白い小説とは言い難い。
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カテゴリ:
海外ミステリ
- 感想投稿日 : 2010年7月27日
- 本棚登録日 : 2010年7月27日
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