監獄島 上

著者 :
  • 光文社 (2004年8月20日発売)
3.52
  • (5)
  • (3)
  • (11)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 57
感想 : 8
3

孤島の刑務所という雰囲気はよく出ていると思う。しかしストーリーが手荒でついて行けない。密室、人間消失、バラバラ殺人──これらの完成度が高ければ、ひとつのネタで長編を支えるのに充分なのだが、本作品はどうやらセット商品として売り出してあるらしい。よって、質より量を重視してあるような。密室が数多く出てくるが、そのトリックは応用を変えただけのワンパターン。苦し紛れや荒唐無稽なトリックも登場するので、やはり一歩引いてストーリー全体を読むことに意識を置いた方が気楽だし諦めもつく。上下巻合わせて相当なページ数だが、意図的に枚数を増やしたかのような無駄なシーンには閉口した。箇条書きが下手なのか、台詞にしても地の文にしても馬鹿丁寧な説明の応酬なので、自然と斜め読みに切り替わってしまう。キャラも書けてないし探偵の印象も薄っぺらなのだが、不思議と古典の残り香が漂い、それが妙に心地よかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本格ミステリ
感想投稿日 : 2006年8月22日
読了日 : 2006年8月22日
本棚登録日 : 2006年8月22日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする