“濡れた魚”とは、未解決事件を表す当時の隠語らしい。時代は80年以上前だが、時間のギャップを感じない。
序盤はスローペース。警察幹部を父に持つ主人公の成長モノかと思い読んでいたら、上巻後半から途端にきな臭くなってくる。陰謀が大きなくくりではあるのだが、それに端を発した二次的三次的事件の方がインパクトも強く、最終的にはこちらがメインになってくる。散らかりやすいストーリーの手綱を握って読者をスムーズに誘導させる手腕は作者の才能なのかな。
組織内のゴタゴタや、主人公が窮地に立たされる局面など、国内警察小説とよく似た印象。この時代でなければならないという理由が思い当たらず、いっそのこと現代小説でもよかったんじゃないかと思ってみたり。上巻下巻でテンポが変わってくるのが残念。特に下巻の後半は怒涛の展開。上下巻ではちと長いネタでしょうか。でも一冊だと豊富な内容がはみ出してしまうといった感じかな。全体のバランスが良くなればリピートしたいシリーズ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
海外ミステリ
- 感想投稿日 : 2012年9月22日
- 読了日 : 2012年9月22日
- 本棚登録日 : 2012年9月22日
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