脳には妙なクセがある (扶桑社新書)

著者 :
  • 扶桑社 (2013年11月30日発売)
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めちゃくちゃ読んでて楽しかった。
ちゃんと記載した論文の情報も巻末に乗ってるし、読みごたえがあった。

面白かったコンテンツ
●PRIDEとプライドの違い
英語では、PRIDEとは、何か起こったことによる自身の喜び、感情を示すが、プライドは社会的に示す自分の振る舞いや規定、品位を表す。
プライドは、他者の存在ありきで成り立っており、喜びと誇りは働く脳のエリアが違う(喜び=快楽欲求、誇り=社会的認識)

●信頼は快楽?
あるゲームを使い、相手を信頼するかどうかの実験を行うと、面白い男女差が出た。
ミラーは信頼を「人情味あふれる気高い感情ではなく、利己的で冷厳な脳作用」と言う。身も蓋もない…。

・囚人が厳罰を受けているシーンを見る
→あいつは罰を受けて当然だと思う気持ちは男性がかなり強い
→女性は罰で辛い気持ちの方に共感する傾向

●もったいないは日本独自の思考?
物に同情(擬人化)し、捨てられる痛みに反応しているのでは、という論文もある。
その痛みを回避するために「いつか使えるかも」という思考になりやすいため、その気持ちを押し殺すか、買わないようにするかどちらかの意識が必要。

●所持効果
自分が持っている物に対して、実際の価値以上に良いものに思える心理。
→所持している物を失いたくない(痛みを回避)ため、実際より高く見積り、希望的に判断しがちになる。

・脳にとっての収集と利用について
新しい情報を収集する(経験を増やす)こと、経験した情報を利用する(安全策を選ぶ)ことについて、年を取ると利用ばかりになる傾向がある。脳にとって収集がなくなるから、考えが固く(古く)なりやすいから、チャレンジは必要。

●脳のしくみについて
・脳は先天的に左側重視
相手側にとって左側=自分の右半身の見え方に特に注視すべし。

・単純図解に飛び付く
相手を説得するためには「プレゼン」が決め手。メディアなどで、データが単純化されると、いかにも、本当らしいと思い込むクセがある。

・表情、姿勢はより自分の確信性を高める
→姿勢を正した状態と曲がった姿勢では自身の発言に対する自信に差が出る。(これは人間性の違いもある気がするが)

・赤は人をひるませる?
ボクシングは赤コーナーの方が勝率が高い。
→暖色は幸福感を表す
→目を引く色で注意警告に使われている
このことから相手の意識や集中力に影響を与えているのでは?という考え。

→極度な集中が必要な時や、注意警告は赤
→ブレインストーミング、創造性が必要な時は青系を見る

●自由意思について
→自分のことを自分で決めている用に思うが、全体の80%以上はお決まりの習性。食べる物、着るもの、行動の内容、順番、問題発生時の対処…細かいことを意識していないだけで、自分の今までの習性で決断し続けている。

意思は周囲の環境や身体の状況にかなり影響を受けるので、よい経験を積むことが大切。また最近はITが発達して、映像を見るだけで知った気になるが、それは脳にとっての経験になっていない。身体性こそ、生物学的な本質が潜む。

著者は自身で行動して経験することをもっと大切にするように喚起しているように感じる。
でも最近冒険してない気がするから、もっと脳を活性化しようと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 教養・社会
感想投稿日 : 2019年2月9日
読了日 : 2019年2月5日
本棚登録日 : 2018年12月14日

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