デザインセンスの塊の様な作品。描き込むのではなく風刺画のような比喩的構図でブラックをベースにライトトーンを配する事で美しいコントラストを表現している。小説の映像化なので登場人が話す言葉に文体の捻りが効いていて、私(主人公)が話すナレーションを聞いているだけでもニヤニヤしてしまう。この言葉による表現も挑戦的なものがあり、後半の何話かは、最初から最後までナレーションが途切れる事無く入っていて声優さんのプロフェッショナルな表現に圧倒される。物語は若者が抱く理想の自分と現実の不甲斐ない自分とのギャップに不満を抱きつつも新たな可能性を模索する話だが、可能性というパラレルワールドを見事に描ききっている。何と言っても結末が秀逸で閉塞からの解放が本当に素晴らしく表現されている。30歳を超えた中年世代には胸を締め付けられる様なノスタルジーに悶えることになると思うが決して不幸な感情には陥らないところがまた素晴らしい。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
アニメ
- 感想投稿日 : 2014年7月28日
- 読了日 : 2014年7月28日
- 本棚登録日 : 2014年7月28日
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