ソロモンの偽証 後篇・裁判 [DVD]

監督 : 成島出 
出演 : 藤野涼子  板垣瑞生  石井杏奈  清水尋也  富田望生  前田航基  望月歩  佐々木蔵之介  夏川結衣  永作博美  黒木華  田畑智子  津川雅彦  余貴美子  松重豊  小日向文世  尾野真千子 
  • 松竹
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感想 : 115
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「私たち、誰も負けなかったよね」
↑こんなクソ映画に前後編あわせて4時間半も付き合った人が負けなんじゃないかと。宮部みゆきさんのファンはもっと怒った方がいいと思う。私は基本的にミステリは読まないことにしてる(読んだとしても古典のみ)ので原作も読む気がないけど、この映画を観て原作を読みたいとはまったくならなかったです。そもそも文庫で全6巻とバカみたいに長い小説を映画化とか無理あるに決まってる。
ちなみにキネマ旬報の年間ベストで第8位とか意味がわからない。キネ旬は昔からおかしいとこあるけどはっきり言って信用ならない。私がわりと信用してるヨコハマ映画祭だとベスト10にすら入ってません。

映画だけ観ると、柏木はよ死ねやとしか思わなかった。なぜなら柏木の死の理由も、神原が彼とツルんでる理由もまったく描写されないから。
大出がやってることは今みたいに陰湿化集団化したいじめとは質が違うただの暴行なので、警察に即通報すべき。ただ90年と少年法改正前。その頃の話を今しても時代錯誤に感じる。「伝説」とかいちいちくだらないんだけど、そんなことでいじめも自殺もなくならないでしょ。
三宅さんが母親に相談できなかったことなんかが問題の根っこにあるが、そこの解決がほぼできていない。あと三宅さんが「みんなの視線が怖い」ってところ、せっかく裁判に出てくれたのに衝立も用意しないなんて。(実際の裁判ではそういう配慮はされる場合もあるみたい)
前編でも思ったけど松子はただの事故死なので、原因を知らない他の人がそこに責任を感じる意味がわからない。
他の人に嘘ついて裁判、「僕を裁いてくれ」じゃねえよとw。ただの甘えなんじゃ?だいたい涼子がそのことに気づかなかったらどうするつもりだったの?裁判の狙いは別のところにあるけど、論理的思考ができない生徒ばかり。判事の井上くん?だけマトモ。

映画としてだと、後編の前半、裁判が始まるまでが退屈。ここでもっと色々と描写できたんじゃないの?
たぶん原作だとしっかり描写されてることが、改変でわけのわからないことになってるっぽい。涼子はどう考えても将来弁護士だよねって感じ、違和感感じた点は原作では全部そのようになってる。

前編のレビューで書き忘れたこと、神原の言ってることの矛盾、後編で伏線として消化されてたのは良かったけど、時系列の描き方がおかしいのでミスかと思っていた。柏木が死んだあとにいじめのシーンで、そこに柏木が現れるので亡霊オチか心象風景だと思っていた(夏服冬服などでの時間経過描写がないため)。つまり柏木は無責任に涼子を偽善者と責めていただけなので、涼子が責任を感じる意味がよくわからない。ちなみに映画をあまり観ない私の母親ですら、このシーンだけ横で観ていて柏木に「自分がいじめを止めに行けば良いのに!!」とブチ切れていたw。いやここはみんなそう思うよね。

ミステリの類型としては柏木が『犬神家の一族』の犬神佐兵衛翁のように、死んだ人間の遺言や謎が呪いみたいになって登場人物を動かすパターンとか、神原と大出は『野良犬』の三船敏郎と犯人みたいに裏表の関係だよねとかも思うんだけど、あまりにもツッコミ所が多すぎだし、セリフも酷くて大爆笑する、誰にも感情移入できず、まったく共感できない映画でした。

私はつまらない映画を観たとしても、「クソ」とか「つまらん」だけで済まさず、なるべくその理由を書くことにしてる。それはそもそも「映画であること」をリスペクトしてる、どれだけくだらないように見えても芸術を尊重してるからなんですが、批評家なんか(さっき書いたキネ旬とか)がバカみたいな評価をしてしまうのは、映画を鑑賞する人に対しての裏切り行為で、それは最終的に芸術や文化を破壊することにつながるのでそっちの方を憎んでいます。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: サスペンス・クライム
感想投稿日 : 2019年3月5日
読了日 : 2019年3月5日
本棚登録日 : 2019年3月5日

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